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長澤知之「黄金の在処」

長澤知之の曲レビュー。(2014年に公開したものを、この度書き直しました。)

★長澤知之「黄金の在処」

黄金の在処

黄金の在処

  • アーティスト: 長澤知之
  • 発売日: 2013/11/06
 

2分ちょっとという短さの中で光る、たった4行の歌詞。それだけで、曲の世界がありありと目に浮かぶ。中でも「美々しい」という言葉がとても印象に残る曲。私の言葉の引き出しの中にはないものだったから、思わずハッとなった。ある種の神聖ささえ漂うほどの美しさに吸い込まれそう。

楽器の音も要所要所で輝いて、コーラスもとても綺麗で、ずっと感じていたいくらい。【夕陽の帰り道】という時間帯と場所の設定が切なくも美しい。1日の終わりを感じさせる風景、共にいる相手とのお別れも近づく…という、二重の切なさだから余計にね。問いかけのあとの【ここにある】に、胸が熱くなる。「ここ」とはどこだろう?という想像をしていると、彼の大切にしている価値観が見えてくるような気がして。(僕=長澤くんだったとしたらの話。)

目の前の美しさを捉えたときに光るもの。それをどうにか「とっておく」ことができないものかと思う。日常の中のささやかなことから得られる、生の肯定。時間は止まってくれないから、そのまま残すことは難しいけれど、心の中にはずっと置いておきたい。ずっと在ってほしい。そんなことをこの曲を聴きながら思っている。
(初出:2014-06-11)