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長澤知之「僕らの輝き」

長澤知之『JUNKLIFE』曲別レビュー
2011年最後のレビューです。どうしても年内にこの曲について書きたかったので、アップできてよかったー。

★07. 僕らの輝き

JUNKLIFE

JUNKLIFE

  • アーティスト: 長澤知之
  • 発売日: 2011/04/06

 「僕らの輝き」は、私にとっては長澤くんのデビュー前から聴いていた付き合いの長い曲のひとつ。毎年彼のデビュー日に聴くと、とても感慨深いものがあります。
インディー盤、デビューシングルと順に聴いてきた曲ではあるものの、「大好き!」と思うまでに時間かかったなぁ。歌詞は昔から好きだったのに、シングルのサウンド面(アレンジ)があまり・・・という感じで、全く聴かないことはなかったけど、ハマるまでは行かなくて。(今となっては信じられない話、笑)でも、いつからだろうなぁ?この曲の響き方が変わってきてさ。ライブで聴く「僕らの輝き」には音源にないものがあってね。ライブに行ったことがある人はわかってくれるかな?
長澤くんの声が変わったことはすごく感じることではあるけれど、この歌が持つ意味自体が変わってきたのか、思わず涙が出そうになるほど純度を増しているように思う。ここ最近のライブで聴くこの曲は特にそう。長澤くん自身の気持ちの変化があるんだろうな。「僕ら」が増えてきたからっていうのも大きいんだろうね。そういうわけで、何年もかけてじわじわと、でも確実に心を掴まれて、出会った頃よりもずっと「僕らの輝き」が好きになった。今ではライブで聴けるととても嬉しい曲です。
フルアルバム(JUNKLIFE)がリリースされることが発表されたとき、この曲が入るのなら録り直して欲しいなと思っていて。今の長澤くんの声で聴いたら、またより一層素敵に響くはずと思っていたから、今回のピアノバージョンにはとても感動したのを覚えてる。
JUNKLIFEに収録されているピアノバージョンは、近年のライブで聴ける「僕ら~」と同じように、優しさ、温かさを増した響き方をしていて、とても好きです。この曲は余計な飾りはいらない、シンプルなのがいい。ギターとピアノは昔に録ったもので、ボーカルだけ入れ直したらしく、それを知ってまた感動!こんな素晴らしい音源があったとは!お蔵入りされないでよかったー。でも、今の彼の声だからこそ映えるバージョンだろうなと思います。
このピアノバージョンを初めて聴いたのは、確か深夜のラジオ(杏子さんとジャイアン社長の)だと思うのだけど、そのときは涙出ました。ただただ美しいと思った。あのアコギとギターの掛け合いが素敵すぎるんだよね。こんなに感情豊かなアコギ音源を私は他に知らない。ライブに行くと強く感じるのは、長澤くんのギターは歌声と一緒で感情がそのまま表れるなぁということ。単なる楽器としてではなく「人」のような感覚で鳴ってる。彼の弾き語りに虜になるのは、このアコギの特徴によるところが大きい。
歌詞について言うと、この歌の歌詞も綺麗だなぁと思う。聴いてると思わず夜空を見上げたくなる。昔からサビが好きでね。こんな私にも「光へのメロディ」があるかなぁと思えたりするんだよね(笑)身近にもてる希望というか。希望というと大きくて眩しい光と捉われがちだけど、それとはちょっと違う類の光で。ちなみに、『長澤知之』とデビューシングル以降とでは歌詞が一部違うんだよ。
歌詞で特筆すべきは【取り戻せない空を追うよりも さあ朝日を見に目を覚ますんだ】の部分。私はこの【取り戻せない空】が気になって気になって仕方ないのです。ここから「回送」のこの部分を思い出してしまう。

でも この頃いつも同じ空を 繰り返し顧みてるのさ
それは此処にも何処にも無い かといって無いわけでも無い 遠い空

この2曲を作った順番がどうなのかはわからないけれど、「回送」を聴いたときにまず空の表現に反応して、「僕らの輝き」の【取り戻せない空】が思い浮かんだ。【取り戻せない空】は、「回送」でいう【同じ空、遠い空】のことなんだろうか?先日の私のレビューで、「回送」は「夢先案内人」とも空でつながってるという話をしたと思うのだけど、出会った順からいうと「僕ら~」の方が先だったからか、空に関しては「夢先~」よりも「僕ら~」の方が「回送」とつながっていると思うのです。「僕らの輝き」と「回送」の空は同じ空のような気がして。
長澤くんの曲によく出てくるワードの中で、星と同じくらい、いや、おそらくそれ以上に気になっている「空」、これは何を意味しているのだろう?星についてはなんとなくこうなのかなって想像できるのだけど、私にとっては空の方が難しくて。彼が長い間ずっと捕らわれていることだったり、苛まれているものをたとえているのかな?過去のことだから「取り戻せない」し「遠い」のかな?この空については、「回送」のレビューでじっくり書ければと思っています。
空のことを思うと切なくなるのだけど、全体を通して感じるのは誠実な心。「僕らの輝き」は、これから先も長澤くんと彼の音楽が好きな人たち(=僕ら)の中で「育っていく」歌なんだと思う。それぞれのすぐそばにある、あたたかな光。僕らが増えるだけ、集まったその光もまた大きくなっていく。素敵だね。