ココロノイロ

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BUMP OF CHICKEN「R.I.P.」

昔公開していて今は非公開になっている文章を読んでみたら、また火がついた。
ここのところよく聴いてる曲だからなのか、自分で書いたものなのにちょっと感動しちゃって(笑)あぁそうだったなぁと改めて気付かされたりしてね。
今回は、その文章(2011/01/17の記事)をベースに、今思うことを加えて再構築してみます。

★ BUMP OF CHICKEN「R.I.P.」

R.I.P. / Merry Christmas

R.I.P. / Merry Christmas

  • アーティスト: BUMP OF CHICKEN
  • 発売日: 2009/11/25

2004年以降、私はBUMP OF CHICKENの音楽から自然と遠ざかっていた。
そのまま時を経て2009年秋に、彼らが所属するレコード会社がYoutubeにアップしたPVをたまたま観る機会があった。それが「R.I.P.」のPVだった。今度出る新曲らしい。
普段は動画検索なんて滅多にしないし、どうしてここに辿り着いたのか忘れちゃったけど、とにかくPVでこの曲の存在を知った。なんだこれは!と思った。PVをこんなに観たことはないというくらい惹き付けられ、当時繰り返し観ていた記憶がある。

映像モノは私にとっては目まぐるしく、音楽を聴きながら見るというのがどうも苦手で、PVから曲が気になるということはそのときまで無かったのだけれど、この曲はPVから入った特別な曲となった。
聴きはじめてから今に至るまで、私のウォークマンにずーっと入ったまま、割と頻繁に聴きたくなる稀少な曲のひとつ。常にそばにある感じではないにしろ、何度となく呼び戻されている。

PVの映像世界も素晴らしいけど、聴いていると自分の中に鮮明な映像が浮かぶ。歌詞には藤原氏の「個人的な記憶」が数多く反映されているらしいが、その過去の記憶の断片が、まるで自分のそれだったかのような感覚になる。

今となっては決して「共有することのできない」過去。それを見つめながら、今と未来に想いを馳せる。この視点が素晴らしい。でも、なんでR.I.P.ってつけたんだろう?何に対してR.I.P.=Rest in peace(安らかに眠れ)と言っているのだろうか。この答えは感覚的に見えているだけで、今でも言葉にはならない。
この曲もまた「死」のにおいがしてくる。出会った人の中には今を生きられない人もいる、というところから。それは人に限らず、生き物すべてに当てはまること。

ここに誰が居たかっただろう それが僕にもなり得る事
こんな当然を思うだけで 眠れない程怖いんだよ

聴いていると、「今」というものを強く感じるんだ。そして、これまでや今、自分の側にいる(いた)人のことを思うきっかけをくれる。「今、このとき」が大事だな、大事にしなきゃいけないなと思う。誰かと共有できる「今」があることが、どれくらい素晴らしいことなのか。そう思っている間にも、刻一刻と今は過ぎていく。最近の私は「リアルタイムに共有する」ことにものすごく捉われるときがあって、それができないと切なくなったり、ひどいときには悲しくなってしまう。
例えばライブがそうだよね。その場にいる人たちだけが感じ取れるもの、共有できるものがあって。それをいくら伝え聞いても、それはその人を通したものであって、自分のものではないし、後になって映像や音源で見聞きしたとしても、そこでの感動は得られない。決して超えられないと思うんだ。

藤くんって当たり前のことに対してものすごく敏感な感性で見ている人だなぁと思う。大人になると、自然と見ないようになるもの、わざと見ないようにするものを、目を背けることなくずっと見て生きてる感じ。そして年を重ねながら、そのときそのときの言葉とメロディーで、それを表現していく。
人によっては、それが青臭く見えたりするのかもしれないけれど、少なくとも私には、彼の心に澄み切ったものを感じて、とても魅力的に映る。自分の醜さや駄目なところを見ていたり、昔の傷があらわになっているときほどそれに触れたいと思う。美しく在りたいと。彼の作品に触れて、自分の心が洗われるような感覚を覚える。

一番好きなフレーズは、歌の一番最後。
ここで、ぐわぁ~~っと広がっていくモノがあるんだ。

地球で一番 幸せだと思った あの日の僕に 君を見せたい

この曲を聴くたびに私は宇宙を感じていて。このシングルのジャケットが象徴するようなね。だから次に出るアルバムタイトルが『COSMONAUT』だと知ったとき、とても興奮したのを覚えてる。藤原基央の描く宇宙は一体どんなものなのか、とても興味があったから。…なんだ、もう2009年から宇宙を気にしてたんじゃん(笑)今にはじまったことじゃなかった。実はこの曲、アルバムに入るとまた違った表情を見せてね。アルバム『COSMONAUT』では、前の曲とつながるように冒頭部分がカットされているのもあるけど、響き方が変わるの。何度聴いても不思議な曲だなぁと思う。
近頃、この曲とペアで聴きたくなるのは「宇宙飛行士への手紙」
なんとなく雰囲気が似ている。あとね、最近「Smile」聴き終わった直後にイメージするのがこのシングルのジャケ写なんだ。

R.I.P.という言葉は、藤くんの中ではお墓に彫られた状態のイメージらしい。身近な存在を意識して、自分とその人の過去・現在・未来を思う。キーワードは「刻みつける」なのかな、と思った。
今、改めてこれは自分にとって特別な曲だったんだなと感じている。あのときこの曲を聴く機会がなければ、それ以降の作品(『COSMONAUT』など)を手に取ることはまだなかったかもしれないし、「ゼロ」との出会いもなかったかもしれないから。
私の心に再びBUMP OF CHICKENという存在を刻みつけた曲。「R.I.P.」なしでは今の私はないんだ。